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苫小牧珍道中 | 後編 |
18日、午前6:00。船は、予定通りに苫小牧港に到着した。苫小牧のフェリーターミナルに入ると、そこには羽田野さんと同じ会社で働く、郷さんも出迎えに来てくれていた。早朝から、ご面倒をかけてしまった。これから須藤さんと大村監督も来てくれると言う。外に出ると、苫小牧は雪が10センチ程も積もっていた。今日が初雪らしい。多分、我々を歓迎してくれているのだ。 |
雪のおかげで、須藤さんの到着が遅れているという。大村監督は断念したようだ。結局、8時頃、ターミナルを出発し、目指す「沼の端アイスアリーナ」に向かった。車中、須藤さんは、「札幌は何度も雪が降っているから、殆どがスタッドレスタイヤに換えているけど、苫小牧は降らないからタイヤ交換が遅れている。」と教えてくれた。八戸も初雪は済んでいるが、自分もタイヤ交換してないことを思い出した。今度の長野は、ノーマルタイヤじゃ危険だ。 |
リンクまでは、15分くらいで到着すると聞いていたが、この雪で結構時間をがかかったみたいだ。リンクに到着すると、懐かしい顔がぞくぞく集まってきた。星さんに逢うのは、2年ぶりである。すこし太った田中(哲)選手もきた。彼はなんと、Tシャツに半ズボンである。相変わらず元気だ。(北海道の人は、そういう彼を「元気」という表現してなかった。確か、別の言葉で表現していたと思う。「異常」だったかな?) リンクの入口にいると、リンクの人から、「すみません。リンク使用表を書いてください。」と言われた。俺で良いのかな?と思ったが、言われるままに書いた。連絡先は当然、バイキングスの事務局だ。 |
いよいよ練習が始まった。これだけ選手がいれば何でも出来そうだ。高瀬コーチの笛で次々とメニューが消化されていく。北海道の選手は、スピード・テクニック・コンタクトプレーと、どれをとってもトップレベルだ。バイキングスのメンバーは、この技術を盗んで欲しい。やはり、お手本なる選手がいるチームは、ビギナーもイメージを構築しやすく技術の向上も早いはずである。バイキングスは全員がライバルだけども、そういう意味では、イメージはできにくい。現に、星選手、須藤選手、松井選手の3人を見ても、氷をかくストロークの仕方や、ターン・コーナリングでのボディコントロールは、全く違う。同じ部位に障害を持つ選手がいれば技術の習得も早いのだ。そして、一番勉強になったのは、練習のための練習ではなく、試合のための練習をしていることだ。やはり、今回ここに来た甲斐があった。次回は是非、バイキングスの植村コーチを連れてこなければ・・・。 一方ベンチには、私と坂本陽子以外は、知らない人ばかりである。が、雰囲気が「あらじゅん」っぽい人がいたので、声をかけてみることにした。やはりそうだった。昨夜から苫小牧に泊まっていたらしい。練習よりもこっちの方が楽しそうなので、ストーブのある部屋に入って世間話に興じてしまった。 |
リンクでは、マッチ形式での練習が始まったらしい。ビデオを回さなくては・・・。やはり、ベアーズの選手は集散が良い。バイキングスは、スピードに付いていけず、オフサイドを解消できないでいる。運動量の違いか・・・。まだまだスケーティングが足りないのだ。それにしても、DFから前にあがる時の須藤選手の運動量と、選手間をスルスルと抜け出る星選手のスレッジワークには驚くばかりだった。バイキングスの中では、山本選手が一人、気を吐いているのがわかる。昨晩のセリフは、嘘ではなかった。ヒグマ達を相手に頑張っているバイキングがそこにいた。 |
10:45、練習は終了した。疲労困憊を隠せないバイキングスの面々の前で、ベアーズは着替えも軽やかだ。 |
さあ、いよいよベアーズのサポーターをしている、川村司さんが経営している「とんかつ屋・勝兵衛」に移動だ。お店は、車で30分くらいの距離にあった。東西に長ひょろい苫小牧の町の端と端にリンクとお店が位置しているそうです。 |
勝兵衛さんでは、広い座敷にみんなの席を設けてくれていた。ベアーズとバイキングスの席がすっかり右・左に別れてしまったことが残念である。せっかくなので、交流を深める配慮をしていただきたかった。テーブルには、食べきれないほどのいろんな種類の「とんかつ」や野菜、フルーツが出された。そして揚げたての「牡蛎フライ」が出てきた。これは美味しかった。詳しくは、「けいぢばん」で報告したので、これ以上書くと、黒澤事務局長に対する犯罪(いじめ)になりかねないので、ここでは、このくらいで勘弁していただく。 |
14:00、食事も終わり我々は、フェリーターミナルに一旦荷物を預けるため、送っていただいた。ここでも須藤さんや羽田野さん、郷さんにはお世話になった。そして、これが新たなドラマを展開することになった。 |
ターミナルに着いて、乗船の21:15までの時間つぶしを考えなければならなかった。苫小牧港からは何処に行くにも、車がなければ行けないのである。早速、みんなから希望をとったが、広い北海道なので何処に行くにも往復に時間がかかってしまう。まして疲れている選手達は出来ることなら休みたいのが本心だ。とても観光をする元気もないし、街ブラをする気力も失せてしまっている。まして、この雪道である。私と羽田野氏・郷氏・元気な坂上君とで、苫小牧観光地図をたよりに行き先を考えた。しかし決まらない。ホントに無いのだ。しかたなく、集合時間を18:30と決め自由行動にした。 |
斉藤・大平・坂上・山本・私は、羽田野氏・郷両氏の車で、ターミナルを出発。斉藤・山本は、SEGAゲーセンに行くことに。大平・坂上・羽田野・郷・私は、健康温泉「湯らり」にいって、お風呂に入ることにした。 ここは、休憩所もあるので、大平・坂上が休んでいる間に、3人はお風呂に入ることにしたのだ。1時間程経って休憩室に行くと、大平さんは、マッサージ椅子の上で死んだように眠っていた。坂上君は、「ガチャポン」に1000円使ってしまったという。この二人の年齢差は40歳。明らかに坂上君は暇そうだった。 郷さんに斉藤君たちの回収をお願いし、ターミナルに向かった。到着は18:00。少し早かったが、荷物も多いし乗船の準備もある。あとはここで時間をつぶそう。さすがにみんな疲れている。今夜は深く飲まなくても良さそうだ。助かった。 しばらくし、待合席の後ろを見ると、羽田野さんと郷さんがビールを飲んでいる。お風呂上がりのビールは美味しそうだ。私も買ってきて3人で、飲みはじめた。彼らは、向こうで休んでいる。しかし、斉藤君が気がついてこっちにやって来た。みんなもやってきた。やばい、ここで飲みが始まる気配だ。坂本陽子は、羽田野さんに、八戸に一緒に行くことを進言しているようだ。無茶だ。いくら羽田野さんでも・・・・。しばらくすると、羽田野さんが郷さんに、一緒に八戸に行こうと誘っているではないか。郷さんは、いたって常識的に断っている。かわいい犬を残して、留守は出来ないと言う。多分、羽田野さんは行く気なんだ・・・。 |
そうしているうちにターミナル内のレストランで、もっと落ちついて深く飲むためと、食事をするために移動することになった。ついさっきまで、「今日は飲まないで寝ようね。」と言っていた斉藤君が率先している。とんでもない嘘つきだ。レストランでは、思い思いの食べ物・飲み物をたのんだが、何故か斉藤君は「日本酒」を注文した。案の定、みんなに振る舞いはじめた。羽田野さんも郷さんも飲んでる。どうやら羽田野さんは、意を決したらしい。彼の言った言葉が決定づけた。「フェリーに乗っても宴会するんでしょ?」「僕もいきます。飲むんでしょ?」明朝6:00に着いて、8:45発の苫小牧行きに乗船すれば、16:00には戻ってこれるという計画らしい。恐ろしい人だ。そうと決まったら、乗船切符は、羽田野さんを介助の一人として増やすことで、半額券を難なくゲット。みんなは、おみやげを買いに急いだ。乗船約束の20:00。今度の船は「シルバークイーン」という船で、「ベガ」よりも大きい。乗るときもエレベーターで上がれる。これは楽だ。 しかし・・・・・。坂本陽子がとんでもないことに気が付いた。「けいぢさん、お酒が、八戸から来たときよりも多いですよ。」「これ、船の中で飲むのかなあ。それともおみやげかなあ。」と戸惑っている。買ったのは勿論、斉藤君である。確かに来たときよりもワインが2本多い。おみやげなら箱に入れてもらうはず。ホントに質(たち)の悪い住職だ。 乗船すると、来たときと同じようにロビーの椅子とテーブルを占領した。素早い。完璧に学習したことを実践している。今度も、乗船員は不機嫌そうな顔で、こちらを伺っている。ビールで乾杯。ワイン・焼酎と進む。羽田野さんもご機嫌だ。この人、北海道にいるけど、完璧にバイキングスだ。そう言えば彼女は、盛岡にいるから頻繁に本州に来ているんだ。 さて、船はというと、来た時よりもかなり揺れている。復路は往路よりも1時間早く八戸に到着するから、潮の流れが大きく作用しているのだろう。どうやら船の揺れは、風ばかりではないようだ。 「かんぱ~い!」。さっきまで死んでた連中が元気だ。話の内容は、「スレッジホッケー」が中心だ。スケーティングの事。ベアーズの選手の事。みんな熱く語り合っている。みんなが、とても逞しく見えた。彼らと出合った頃からは想像もできない空気が、ここを熱風のように流れている。 時間は23時。揺れが激しくなってきた。だんだん、やばくなってきた。今夜一番最初にダウンするのは自分のようだ。もう観念するしかない。悪いけど、先に部屋に戻ることにした。 というわけで、その後どういう展開になったは、・・・・・・・・・・・・・・・。 しばらくして部屋の中。斉藤君の声に起こされた。羽田野さんと、山本さんは、私と同部屋なので解るが、なんで学成が・・・。起こしても反応しなかった私は助かったが、二人が捕まっているみたいだ。しばらく、声がしていたが、羽田野さんの声がしなくなり、二人で何やら話していた。やっと、声がしなくなったのは、何時頃だろう。 翌朝、三浦さんからの電話で起きた。時間は5:30。船がすぐそこまで見えて来たので、どこから降りるかの確認だった。やはり、船酔いしている私は、思考回路は飛んでいる。でもエレベーターが有ることを告げると、彼は容易に理解してくれた。三浦さんは、フェリーにも商品取引があるので、事情は詳しいのだ。私以外は、みんな元気だ。ターミナルには、三浦さんの他に、黒澤宗男君、坂本(姉)が出迎えに来てくれていた。朝は早くから、感謝である。外に出ると、車や道路がすっかり雪化粧だった。三浦さんは、苫小牧から持ってきたな。と言っていたが、今回の遠征は、ず~と雪と一緒だった。もしかしたら、長野オープンは、雪かも・・・。タイヤ交換をしなければ・・・・。 最後に。 今回の遠征は、技術の習得は勿論、長野遠征を控え、連合チームをなるベアーズの面々との交流。また、遠征を経験したことの無いメンバーの慣れを目的とした、大変有意義な体験となったことは、言うまでもない。そして、チームのメンバーひとり一人が、今まで以上に仲間を知ることにもなった。 それは、選手のみならず、一員として同行してくれた坂本陽子の力に頼った部分がかなり大きい。あらためてお礼を言いたい。今度からは、私が行かなくても大丈夫だと思います。これからも頑張って下さい。 さあ、次はいよいよ「長野オープン」だ。日本中の強者が集結する合宿とゲームの中、自分自身にチャレンジするバイキング達に期待したい。 記・けいぢ |
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