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苫小牧珍道中 | 前編 |
平成12年11月17日22:00。八戸発、苫小牧行き。飲みきれないほどのお酒と乾物を積んだ、東日本フェリー「ベガ」は、小雨の八戸港を出発した。 今回、苫小牧遠征に参加したのは、斉藤・大平・山本・赤坂・坂上、以上5選手と、坂本(妹)・西村を含めた7人である。これは、今月23日から始まる長野オープン大会への参加が決まり、少しでも修行を積もうと自然に発生した遠征計画である。今年7月から練習が始まり、北海道からも誰かが毎回の様に来てくれ、須藤選手をはじめ、羽田野さん達とのレベルの違いを感じた選手達の向上心と焦りがそうさせたのだ。 遠く中世こ頃よりバイキング達は、そもそも肉体的にも精神的にも基本的にタフで陽気な事になっているので、練習前の船旅を心から楽しみにしているようだ。どうやら船酔いを覚悟で乗り込んできたのは私だけのようだ・・・ ![]() |
お見送りには、黒澤事務局長・番地君・西澤君、田口さん、坂本朋子さんが、来てくれ、荷物を運んでくれたり、乗船の段取りとかをいろいろ教えてくれた。心から感謝したい。私も恥ずかしながら、生まれて初めての乗船手続きを学習することができ、これからは、一人でも船旅ができそうだ。(絶対無いと思うが。) 乗船には、やはり戸惑ってしまった。乗船手続の時に打ち合わせはしてあったのだが、打ち合わせと船員との情報が違っていたようだ。そして、船員の心ない言葉を聞くことになる。「なんだよ、こんなにいるのかよ!!。」乗船後もしばらくは彼らは無口だった。 部屋は、一等寝室・和室を2部屋借り切ることができた。みんなは、部屋割が済んで、ロビーに集合した。ロビーのほうが広いからである。ソファーとテーブルを占領し酒盛りの準備が整った。正面には売店があり、そこにいるお姉ちゃんや蝶ネクタイをしたおじさん達が、何か言いたそうだが、言えないでいる様子が伺われた。バイキングスはそんなことは関係ないのである。しかし、考えてみると、一等寝室というのは、それぞれが個室でくつろげるように用意しているはずであり、お客もそれを望んで予約するのだろう。 |
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そのうち、ビールも無くなり、焼酎も2本目が無くなってきた。どうやら、大平さんが、壊れはじめた。保護して就寝させなければ。部屋に送って布団に横になった瞬間、動かなくなった。死んだかと思ったほど焦った。 |
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一方、焼酎も無くなると、とうとう日本酒が繰り出した。乗船前に三浦さんが、差し入れてくれたのだ。日本酒だけは勘弁して欲しかった。たぶんこれで、みんな壊れて本性が出て来るに違いない。時間は、1時過ぎ。船は、津軽海峡にさしかかったらしい。この大きな船が揺れ始めた。やばい。と思ったのは自分だけ? |
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そろそろ、お開きにしなければ。みんな壊れてしまったら大変だ。我々は、解散し、部屋に戻った。 しかしここからが、山本さんの本領発揮である。布団に横になり、横に寝ている大平さんを起こしてしまった。そして、「明日、北海道をぶっつぶすぞ!!」「「俺達はあいつらをつぶしに行くんだからな!」と声を大にして言っている。信じられない事実がここで起こっている。(我々には、日頃の彼からは、無口でシャイな内気なおじさんだという印象しか、インプットされてないのだ。)結局、3:30まで、二人で話しをしていた。しまいには、大平さんの「腕枕」で、寝てしまった。 ところが、寝相が悪いのか、機嫌が収まらないのか、彼の個人攻撃は、寝てからも続いた。隣に寝ている私の背中や横腹を蹴るのである。それも両足でである。これにはまいった。寝てられないのだ。どかしても、どかしても、容赦なく蹴りが入る。山本さん、ごめん。少しの間、我慢してください。私は自分の両足を、彼の両腿にのっけて寝ることにした。私の足の下では、彼の両腿がピクピクしていた。ほんとにゴメンね。 朝5:30頃からの船内放送で、何度も下船案内があり、目が覚めてしまった。隣に寝ていた坂上君の、「あっ、雪が降ってる。」という声で布団から出る決心をした。大平さんと山本さんも起きている。どうやら、私が寝坊したらしい。まあ、昨夜の事を考えればしょうがないか・・・・。そう言えば、昨晩の記憶の中で、鮮明に記憶していることが、もう一つあった。坂上くんの言葉を思い出した。「僕ね、長野パラの前からスレッジホッケーって「アビリティージャパン」で読んで知ってたんだ。僕がチームを作ろうと思っていたんだ。」そして、こうも言った。「もし八戸に来なければ、北海道のチームに入っていたのかなあ?」(彼は小学校の時、北海道からお母さんの郷里・八戸に引っ越してきた事を思い出した。)日頃無口な彼から出た、思いがけない言葉に一瞬心臓が止まってしまった事を思い出した。そして、彼がスレッジホッケーに挑む姿勢を感じた。 彼らに、最初(春)会ったときと比べて、別人のように逞しくなっている今の彼らと過ごした貴重な時間を感じながら、下船の準備に取りかかった。が、いち早く船員の人達が荷物を全部運んでくれたみたいだし、全員の身の回り品は坂本陽子が整えてくれている。 やることが無くなった私は、まるで間抜けなおばかさんのように、みんなの後から下船をすることにした。その間、昨晩の話を大平さんに教えたが、殆ど覚えてない。いままで我々は、大平さんの事を「都合の悪い話は聞こえないふりをするおじいちゃん」とばかり思っていたが、「都合の悪いことは忘れるという特技」も持ち合わせていたのだ。まるで完璧じゃないか。 そして、もう一人いた。山本さんも、昨晩の事は、すっかり忘れていた。 記・けいぢ |
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